「メモリーズオフそれからagain」のBGMは2005年9月頃から制作していました。
これを書いている現在は2009年12月なので、4年以上前に手掛けた楽曲という事になります。
細かな事の記憶は薄れ気味ですが、それでも覚えている事や当時の資料を参考にしつつ
BGMの簡単な解説を書いてみます。最近発売されたPSP版で初めて本作のBGMを聴かれた方も、
当時プレイされていた方も、音楽を聴きつつ制作側の話や世界観を楽しんで頂ければ幸いです。

2009/12/04 Takeshi Abo.

01 :Again memories -theme-
全体の統合テーマとなる楽曲です。
「メモオフそれから」の後日談となる本編ですので、マイナスのイメージは持たず、
明るく、暖かく、幸せな生活を音楽へ込めました。
使用する音色も柔らかで透明感有る物を作ったり選んだりして使ってます。
ゲームを終わらせた後に聴いても安心してまったり聴けるような楽曲を目指しました。

 

02 :Cantabile - Inori stories -
新規で作った楽曲は少なめですが、その新規曲は入念に作ったのを思い出します。
その中の1つ、いのりの物語のテーマ曲です。カンタービレとは「ゆったり流れるように」
「歌うように」という音楽用語です。メロディーラインを「ランラ〜ラ〜」と
口ずさむようにして作りました。8ビート、16ビートが多いメモオフ楽曲ですが、
この曲は珍しくシャッフルビートの曲になります。
作っていて楽しかったのでどんどん長くなってしまい、3:34の演奏時間になりました。

 

03 :Vivid style - Miyabi stories -
雅の物語のテーマ曲です。楽しい未来・新生活がイメージとなってます。
和の設定を旋律に微妙に取り入れつつ、長く聞いていても邪魔にならないような
音作りにも専念しました。

 

04 :Pair driving - Rikari'n stories -
りかりんの物語のテーマ曲です。
ゆったり2人でドライブする時に合いそうな、爽やかな音楽を目指しました。
イメージ的には夕日で赤く染まる風景をバックに、2シーターオープンの車で
海岸線を気楽に走っているような具合です。個人的には伊豆南部の海岸沿いの
道を思い出しながら作ってみました。あの辺は渋滞しなければ凄く素晴らしい
ドライブルートです。

 

05 :Several ways -again memories-
Again memoriesのまったりバージョンです。
それぞれの道を歩んでいるお話です、のような日常のイメージでアレンジしました。
この「それからagain」自体がエピローグのような位置づけなので、曲のスタイルも
何となくエピローグのような具合に聞こえてきます。

 

06 :High tension
一旦楽曲開発が一段落した後に追加で作った楽曲です。
かなりドタバタでグダグダな様子をイメージしています。
メモオフには珍しいテンションの曲になっている事かと思います。

 

07 :Inori - sweet note -
ここからしばらく「それから」の内蔵音源をREASONにて作り直した物になります。
既存曲という事もあり、解説内容は違いや音色関係になると思います。
さてこの曲の場合、ピアノの同時発音数を気にしなくても良いので、とても気楽でした。
と言っても、内蔵音源もかなりキリキリにチューニングした仕様で演奏していたので
意外と違和感なくREASONへ移行出来ているような気がします。

 

08 :Fibs
リズム物が得意なREASONという事もあって、アレンジするに当たって
グルーブ感が出ているリズムにしてみました。ベースも低音で
ブイブイ言うようなダークな物に。大きく変えたのはその辺くらいで、
他伴奏や旋律は共通のイメージで演奏するようにしています。

 

09 :Miyabi - lovers or friends -
REASON化する事で左右の広がりが出て、音色の奥行きが深くなりました。
内蔵音源ではマルチサンプリングして多少力押ししていた部分もREASON化で
違和感なく展開出来るようになりました。…と言ってもREASONで使っている音色は
自分で作った物もかなり多く、サンプリング物は結局マルチサンプリングだったり
します。和楽器は全て自分でサンプリングして作った物です。他キラキラしたシンセも
たいがいは自作です。なのでやっている事はそんなに変わらなかったりしますが、
音の解像度や広がりが出る事で音楽の質も大きく向上するのでした。VIVA REASON!

 

10 :Yukari'n - sister? -
REASON化で大きく恩恵を受ける音色の1つ、ピアノ。
特にピアノソロに近いフレーズ等は大きく質が向上します。
この曲もその代表例になりますでしょうか。
内蔵音源でもピアノの音色は時間と容量をかけて作った力作(?)でした。
それとリバーブ等の残響音の向上による恩恵も大きいです。
聴き比べるとその差がはっきり分かります(比べなくても分かる??)。

 

11 :Rikari'n - a young lady -
内蔵音源ではコーラスをかけた音色は非常に苦手で、対策としては
1つの音色を2トラック使って微妙にピッチをずらして重ねる手法を
取ったりしますが、それはポリ数(同時発音数)を2倍使ってしまう事で
弊害が多々出てきます。コーラスかけた状態でサンプリングする方法もありますが、
その場合ループがとりづらくなり、結果不自然なループ音色になったりします。
長く取れば解決する事もありますが、結局容量を数倍使ってしまい、無コーラス音色を
重ねた方が効率的だったりもします。この辺が内蔵音源の音色作りで難しい所ですが、
逆に腕の見せ所でもあるので、ここをしっかりやっておけば使用する楽曲全体の
質が大幅に向上する所だったりもします。そこが面白いところです。
しかもマルチサンプリングだったりするとまたデータ作りが大変だったり。
しかしREASON化でその問題も解決し、音の重ね合わせや厚みの自由度が増します。
この曲の場合はE.Pianoがその苦悩音色に近いでしょうか。

 

12 :Nonchan - fancy -
音色をすり替えるだけでも劇的に質が向上するのですが、内蔵音源の音楽は
その特殊な仕様に合わせたデータだったりしますので、すり替えただけでは
逆に違和感が各所で増えたりします。その調整や、フレーズの作り直しで
バランスを取って行きます。比較的無加工で音色調整程度で済むのは
トリガーして鳴らす音色でもあるドラムパートだったりします。

 

13 :Kanata - Her way -
SDI、ギャラクシーフォース、カルテット等でお馴染みの林さんが原曲を作って下さった
カナタの曲ですが、内蔵音源でアレンジさせて頂いた物を更にREASON用にアレンジしました。
元々フレーズサンプリング的なパーカッションが特徴的だった曲でもあったので、
REASON化でREXモジュールによるフレーズサンプリングを活用しました。
ノリが良い曲なのでベースパートも新しく打ち込み直し、いくつかパートも追加してます。

 

14 :For memories -theme-
元々シンフォニックなサウンドデザインをした曲でもあったので、
それを拡張するような形でREASON化していきました。結果、内蔵音源では
発音出来なかった音数や楽器を表現する事が出来ました。
これを書いている2009年12月の段階ではもっと表情付けたり音色も別の物に
したり音を加えたり…と思ったりします(この曲に限りませんが)。
そうやって今後も日々切磋琢磨しながら質の向上に努めていけたらなぁ、
なんて思ったりもします。

 

15 :Coffee break
ボサノバなテイストの曲。REASON化でより深みが出たような気がします。
内蔵音源では容量削減と自分の未熟さからループが分かるような音色も多かったりしますが、
REASON化でそういう音色面でのマイナス点も解消されたかと思います。

 

16 :Sunshades
REASON化によってピアノの和音が心地いい響きになりました。
シンセの広がりも良い感じで、メモオフ独特の雰囲気が漂っている事かと思います。
元々のパートにいくつか分からない程度に増やしていたりします。
キラキラした音は追加すると分かりやすいですが、和音を1つ足したりと
そういう地味な味付けが効いているかと思います。

 

17 :Gray sight
メモオフの音楽の根底にある雰囲気は、この曲のようなダークなイメージの
音楽だったりもします。メロディーが、とかではなく、雰囲気重視というか、
サウンドトラック本来の持つ味というか。
単にこういう曲が好きで作っているわけでもあります。

 

18 :Umbrella
内蔵音源でもピアノの音色と曲データには入念にチューニングを行ってましたが、
その独自のデータ構造のおかげで、単に音色をすり替えるだけのような作業では
音楽が正しく聴こえてこなかったりします。結局は演奏し直しだったりする部分が
あったりするのが全曲通してピアノパートだったりもします。
この曲はコードワークが2005年当時の自分では画期的でした。

 

19 :All is for you
REASONはリズムやベースなどグルーブ感溢れるサウンドが注目されがちですが、
こういったシンフォニックな曲も意外と得意だったりします。
しかしハードウェアシンセの表現力まではなかなか持って行けないので、
そこからは打ち込みやデータのエディットが鍵になります。
誰でも良い音が出せる近年でも、こうして作り手の影響を濃く受ける音源は
かなり好みです。あまり人が使っていないような使い方とか目指してみたり?

 

20 :An anniversary
ピアノソロです。前述の通り演奏し直し・打ち込みし直しをしたと思います。
このピアノの音色はREASONv1.0からある音色をエディットして使っています。

 

21 :Past door
出だしから鳴るこういう音色が得意なREASONでもありますが、この音色は自分で
幾つかのシンセからサンプリングした波形を編集して使えるようにしています。

 

22 :Strained heart
メモオフでは珍しい曲調のBGMでしたが、REASON化する事で比較的他のBGMと
親和したような気がします。とはいえ、普通のスネアドラムではなく、こういう
小太鼓系だと曲のジャンルが若干違っては聴こえてきます。
ホルンの響きが結構好きです。

 

23 :Low
元々内蔵音源版でもサンプリングして使っていた音色をREASONに組み込んで、
作って行きますが、シンセリードはREASON内で好きなSubtractor音源を使って
演奏させています。

 

24 :Renovated page
メインテーマを継承しているのでシンフォニックにしようかと思いましたが、
原曲と大きく変えないよう心がけてもいたので、全体的に統一されるように
限られた時間でアレンジしていきました。

 

25 :Inori -sweet note- (Piano)
26 :Miyabi -lovers or friends- (Piano)
27 :Rikari'n -a young lady- (Piano)
ピアノ曲は演奏しなおして完了、と文字にするととても簡単になります。

 

28 :Angel's smile - epilogue -
いのりシナリオのエンディングテーマです。各エンディングテーマは長めの演奏時間です。
「Cantabile - Inori stories -」からの独特の流れを意識して当時作ったと思います。
柔らかな空気感を継承しつつ、徐々に壮大に、大きな幸せ、可能性を秘めた未来、
そんな憂いをシンフォニックな音楽にしてみました。
自分が指揮者になって楽曲と一体になるような感じに聞いて頂ければ幸いです。

 

29 :Eternal summer - epilogue -
雅シナリオのエンディングテーマです。
雅の曲はキャラテーマ&シナリオテーマどちらも結構お気に入りという事もあって、
エンディングにもその各フレーズを導入しました。その融合性能は作者も驚きの親和性で、
とても良い具合にミックス出来たと思っています。
これから始まる更に新たな生活に対する身震いするような期待感、そんなイメージが
伝われば良いなと思っています。

 

30 :Secret future - epilogue -
りかりんシナリオのエンディングテーマです。
サントラCDでも書きましたがエンディングの曲名は各シナリオ最後のシーンタイトルです。
いのり、雅の曲は英訳していますが、この曲はそのままです。
イメージした所はエピローグでも語られる2人だけの無人島。
静かな波のささやき、頬を撫でる微風、南国の木々のざわめき、
そんなリゾートを超越した二人だけの時間が流れる特別な場所をイメージしてます。
私自身、自然が大好きでして、海、空、雲、風、そんなキーワードが大好きです。

 

31 :With memories (Piano)
元々REASONで作ってあったのでこちらは再出力するような形で殆ど手を入れていないと思います。

 


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