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今回3曲程アレンジで参加させて頂きました。
担当は「乙女のポリシー」「ゆずれない願い」「ハレ晴レユカイ」です。
サウンドコンセプトは担当した3曲通して「ゲーム的な古き良きFM音源アレンジ」となっております。
FM音源はYM2151でお馴染みのOPMです。左右中央のステレオ出力可能なFM音源を8音も発する事が出来ます。
まず最初にアレンジ作業を行ったのが「乙女のポリシー」です。
DETUNEさんのiPad用アプリ「iYM2151」の画面とあわせていくつか音色を紹介しつつ、
使用した音色中心に解説したいと思います。
(FM音源自体我流ですので、達人の方からすると変な解説かも知れませんが…^^;)
■乙女のポリシー
私的なゲームアレンジの1つに、オクターブを跨いだベースラインがあります。
なのでこの曲はその典型的ズッデデベースラインを採用する事にしました。
mmlで記述するとl16c8ccc8ccやc8<cc>c8<cc>等です。
このノリが似合いそうな曲でもありましたので早速ベースラインから打ち込みました。
そのベースの音色もFM音源らしいと思っている方向に作り上げました。
ベースの音色は以下の通りです。
え〜と…
AL FB
0, 5
AR DR SR RR SL TL KS ML D1 D2 AM
OP1:31,18,02,13,09,28,02,13,01,00,00
OP2:31,10,15,04,04,41,03,01,02,00,00
OP3:31,08,03,05,01,21,02,00,03,00,00
OP4:31,02,02,12,15,00,02,01,07,00,00
と書いた方が馴染みやすい方々も多いかと思います。
実際私もこの表記だと音のイメージがしやすいです。
(フォントの都合上1桁数字にも0を付けてます)
このアルゴリズム0でMLを極端に高い→低いの組み合わせは王道でしょうか。
10,0,0,0とかが王道ですが、今回13,1,0,1にしています。
高めの音で作って間に0を入れて下げる手法です。
これはベース以外でも有効な音色作りの手段です。
ML比を上:下=2:1にする事で主張を大きく出来る矩形波の成分を出せるので、
低音成分の増幅としても使える手かなと思います。
その手を使う場合はアルゴリズム0より1や2、3の方が向いています。
ギンギンした高MLの成分はADSRできつめのアタック成分として残し、
メインとなる3〜4オペレータで音色自体のADSRを決めてます。OP4が音量ADSRです。
DT1の1,2,3,7はいつも適当に入れている数値です。
音を伸ばした時にフラットではなく多少のウネリが加わります。
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次にこの曲の雰囲気を作っているステレオ感あるベルパッドの音色です。
mml派の表記では以下のようになります。
AL FB
4, 7
AR DR SR RR SL TL KS ML D1 D2 AM
OP1:22,00,01,11,00,29,01,02,03,00,00
OP2:14,08,00,13,01,08,00,04,03,00,00
OP3:31,11,00,00,02,35,00,14,03,00,00
OP4:31,08,05,10,15,02,00,04,07,00,00
万能で分かりやすい並列アルゴリズムでして、
慣れた方は見ただけで音も大体分かります。
OP1,2でシンセパッド成分、OP3,4でベル成分を作っています。
定番ですがシンセ要素にFBを使いたいのでOP1-2にパッドを指定しています。
MLは0,1,2,4,8が基音となる「ド」となっています。
シンセ成分はMLの上下比を1:1よりニョーンという成分が出る1:2にしています。
これを1:4、1:8とするとニョーン感が上がって行きます。
(この場合MLが1や2、4、8である必要はありません。上げすぎるとギンギンしていきます。)
TL値を下げ、FBでギリギリ歪まない位にしてやるとミョーン感が強まって、
FM音源らしいウネリのある音色を作る事が出来ます。
この音色の場合は比較的TLは下げずに柔らかなパッドの成分を作っています。
MLは逆に2:1とする事で矩形波成分が強まっていきます。
ベル成分はその方向でして、14:4(7:2)にしています。
ベルは簡単な物で、10:2(5:1)や12:2(6:1)にしたりと色々と作れます。
E.Pianoのアタック成分にしたりと用途は色々あります。
なお、MLを7,2ではなく14,4となるべく上げているのは、
D1(DETUNE1)のパラメータがより大きく掛かるようにする為です。
音程(周波数)が高い程detune効果が掛かります。
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次は楽曲にゲーム音楽的なFM音源らしさを出す歪み系ギターの音色です。
mml表記は…
AL FB
0, 4
AR DR SR RR SL TL KS ML D1 D2 AM
OP1:30,00,00,08,00,18,00,04,01,00,00
OP2:25,04,00,09,06,33,00,15,00,00,00
OP3:31,08,00,00,04,20,00,04,00,00,00
OP4:31,00,00,08,00,02,00,02,07,00,00
FM音源の歪み系ギターは好みが分かる所かと思いますが、
私はノイズになるかならないか位の変調が心地良く感じます。
その状態で5度和音にするといい具合の馴染み方になります。
変調しまくるのでアルゴリズム0を使っています。
ノイズ成分担当のOP1、きつく変調させるOP2、
OP3とOP4で音自体のキャラクターを作っています。
OP4は音量ADSR担当です。
このOP3とOP4のML比を4:2の矩形波にしている事で、
音を伸ばした時のギターのフィードバックを再現させています。
各オペレータのADSRの数値が肝になります。
OP2の変調成分を絞る(例えばDRを31にする等)と歪み成分のあるスクエアリードに早変わりします。
お勧めはOP2のDRを19や20辺りです。この音も結構好きです。お試し下さい(^^;
D1は長周期のウネリを出す為に軽く掛けています。
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という具合にiYM2151上で音色及びシーケンスを打ち込んでいます。
シーケンスがこれまた大変で、過去KORG 01/Wproの内蔵シーケンサーへ
夜な夜な打ち込んでいた頃を思い出しながら入力していきました。
全体像を考えておかないと小節数や短い音符処理でハマってしまうので、
その辺の構築も必要です。これも慣れてしまえば、の世界でしょうか。
これは余談ですが、
ファミコンはFM音源や16bitではないです、というごもっともなご意見があるかも知れませんが、
ファミソンは商標でありまして、「FM音源を使ったファミソンシリーズ、16bitな時代背景でGO!」な
ニュアンスと理解しております(^^;)
また後日にでも、他の音も解説してみたいと思います。
そんな「FMファミソン16BIT -ANIME STAGE-」、宜しくお願い致します。
2012/09/05 Takeshi Abo.
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